収入は遺伝で決まる!?収入と遺伝の残酷な現実とは?

お金を稼ぐのに学歴は関係ない。
という論説は至る所で聞きますね。特に成功した経営者や実業家などはよく言っているイメージです。

しかし、本当に努力すれば稼げるのでしょうか?

逆に言えば、努力するだけでお金持ちになれるほど、この社会は優しいのでしょうか?

2019年の年末、高収入を得ている人が持つ『高収入遺伝子』が発見されたことが科学誌に発表され、話題になりました。

40代の収入は”半分以上遺伝で決まる”は本当か

あらゆる個人差には、無視できない遺伝の影響があります。

そこで今回は、遺伝と収入の関係について徹底解説いたします。

目次

年齢が上がるほど、遺伝の影響を強く受ける|遺伝と収入

2019年、Nature CommunicationsというNature Publishing Groupが出している影響力のある科学誌に、約29万人のゲノムを探索し、高収入に寄与する149個の遺伝子座を発見したことが発表されました。

つまり高収入になる人は、高収入になるための、高収入遺伝子を持っていたのです。

多くの人は、収入は個人の努力次第と思っているでしょう。
しかし、遺伝的要因と収入の関連性については多くの研究が行われているのです。

遺伝の影響には、身長・体重、疾患のかかりやすさ、心身の健康度、発達障害や精神疾患、物資依存、犯罪、パーソナリティ、社会的態度、知能、学力、さらには職業適性や収入など、人が社会の中で生きるとき、気になる側面がおおむね網羅されています。

特に知能や学力、精神疾患は遺伝率の高いほうであり、50〜60%は遺伝の影響らしいです。また、パーソナリティや社会的態度は30〜40%程度と言われています。知能や学力の遺伝率が50%以上というのは受け入れにくい数値ですね……。

男性の収入は「遺伝」でこれだけ決まるという「冷酷すぎる現実」

双生児などを用いたこれまでの研究では、音楽の才能は約90%、スポーツの才能は約80%が遺伝の影響と報告しているものもあります。知能については、児童期が約40%遺伝の影響を受けるのに対し、成人期初期には約70%の影響を受けるという指摘があります。つまり、年齢が上がるにつれ、遺伝的要因は強く現れやすくなるということです。

これは、子供のころのほうが、親の与える環境による影響を強く受ける一方、大人になるにつれて自分自身の遺伝的な素養にあった環境を自分で選んでいき、遺伝的な素質がより表に出やすい状況になるため、と解釈されています。

といっても、ある程度情報やスキルで収入に影響することもできており、そういった方法は紹介されています。

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ただ、こういったやり方も個人差が大きくあることでしょう。

「行動のあらゆる側面には遺伝の影響がある」、これが行動遺伝学の第一原則です。

収入に関する遺伝の影響は年齢を重ねるとともに強くなる

日本人の双生児約1000人を対象に、20~60歳の男性について、収入に対する遺伝の影響が年齢でどう変化するかを調べた研究があります。

その研究によると、収入に対する遺伝の影響は20歳で22.7%。その後、30歳で38.2%、40歳で56.5%とどんどん上がり、43歳で58.7%とピークを迎えます。その後は、50歳で52.3%と下がっていきます。

学校を卒業したてのころ、収入の個人差を一番説明するものは共有環境で、およそ60%がこれで説明されます。一方、遺伝の影響は20%に過ぎません。共有環境とは家族が共有することでお互いに類似性を作り出す環境の効果のことを指します。

つまり、初めて職業に就くときは、親の意向や親族の人脈が、直接にせよ間接にせよ、影響力を及ぼして、初任給のよい会社、儲かる仕事にありつくことが出来る人もいれば、そんな境遇に恵まれずに零細な会社、ぱっとしない仕事に甘んじて、キャリアをスタートさせざるを得ない人もいることを意味する。

しかし、仕事をこなしていき、年を重ねていくについて、徐々にその人自身の遺伝的実力が顕わになっていきます。そして、働き盛りの40代半ばに向かって、共有環境の影響はどんどん減少し、逆に遺伝の影響が60%を説明するほどまで増加するのです。

つまり、新入社員にくらべ、30代、40代と年齢が上がるほどに、「仕事ができる・できない」に表れ始め、そこには、遺伝的影響が現れている可能性が高いということなのかもしれません。

しかし、この研究結果は、男性に限るというのです。(女性の研究やデータがまだ少ないのかも?)

女性の場合には、生涯にわたって収入における遺伝的影響はほぼない、という結論がでています。原因は、就労している女性と就労していない女性を区別せずに研究対象としているためです。

40代の収入は”半分以上遺伝で決まる”は本当か

遺伝を受け入れた社会|遺伝と収入

たとえば、ある一卵性双生児の1人は、大学卒業後、なりたい職業が思いつかなくて、その気もなく受けた会社にことごとく落とされたのでフリーターになり、もう片方はやっぱり特になりたい職業が思いつかなかったけれど、たまたまその気もなく受けた会社から気に入られたのでとりあえず会社勤めをしたとしましょう。

でも、それから数十年して45歳くらいになると、この二人はだいたい似たような社会的ポジションについている可能性が行動遺伝学的には高いということになります。

フリーターになった前者はそのままフリーターを続け、後者は会社に入ったもののやっぱり合わなくてフリーター的な生き方を選ぶかもしれない。あるいは、フリーターになった前者がやっぱりどこかの会社で頑張ろうという気になって、後者と同じような働き方をするようになるかもしれない。そういう傾向が見られるということです。

多くの人は、大人になるにつれ「経験値や専門性がついてきた」「忙しい」「もう先が見えている」などと言い訳をして手抜きをしがちですが、おそらくそれは逆で、大人になるにつれて謙虚に学習をし続ける必要があるのかもしれません。

近年では、遺伝の影響が社会的格差に結びついているのにも関わらず、学校や社会、親などは「もっと頑張りなさい」「努力が足りない」などとメッセージを発信し続けています。

しかし、人によって、音楽が好きとか、頭を使うのが好きとか、体を動かすのが好きとか、いろいろな個人差があるのは当然です。そうした個人差はあっても、社会的に重要な指標については分散が小さい、つまり格差が少ない状態を考えていく必要があるでしょう。

とはいっても、そういった社会の実現はなかなか難しいです。

適材適所で人が能力を発揮できる、そういう方向を目指し、不適在不適所に陥ってしまっている人たちが声を上げ、あるいは互いに声なき声に気づき、何かできる素質のある人たちが何かをすることによって、社会として調整を繰り返していくしかないのでしょう。

教育も本来そのためにあるべきです。

確かに人々に教育を施すことで、全体としての知識や能力は上がりますが、同時に個人間の格差も拡大させる方向に働きます。

教育が一部の人にしか与えられなかったときには、能力や知識の差は、その教育を受けたかどうかという環境の差で説明することができました。しかし、誰もが教育を受けられるようになれば、遺伝的な差が顕在化してくるのです。

収入を上げる方法などは世の中に流通するようになりましたが、それを実行して結果に結びつけられる人は一部に限られています。
そういうフェーズはすでに超えており、これからはより多様な人が活躍できる仕組みや教育作りを、素質のある人たちと機会に恵まれていない人たちで一緒に作り上げていく必要があるのではないでしょうか?

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